「日本経済を再び活性化させるために、定年を45歳にしてはどうか」
昨年12月にサントリーホールディングスの新浪社長の発言です。言い方等もあってか、当時世の中から批判や憤りの声が上がり、大きな波紋を呼びました。
下記記事によると「会社に頼らない姿勢が必要」ということが発言の真意だったようです。
新浪社長のご発言からいろいろなことに思いを巡らせました。
「会社に頼らない生き方」はとても重要だともいます。
人は年齢を重ねることで、体力、知力、気力は低下していきます。年功序列の給与体系に若い人が不満に思うのはあたりまえです。ですが、45歳までの人材のみで、会社は成り立つのでしょうか。
46歳以上の人材はいろいろな意味で下降曲線もある。ですが、それに変わる能力や技や人脈だったりとその人たちだからできない仕事もあるでしょう。
真の問題は、老若男女問わず、会社を構成する人員がより高いパフォーマンスを発揮できるようにその特性、特徴を受け入れ、活用することではないでしょうか。
46歳以上の人たちを会社の「お荷物」ととらえるのではなく、活かす仕組みを考える。かつ、若い人たちで能力のある人をより評価することではないでしょうか。
少子高齢化が進むこの国では、従来の年齢分布で設計されている社会保障や年金制度が悲鳴を上げるのは当たりまえ。46歳以上というよりも現在の定年60歳以上の層も働いていかないと社会が成り立たない。今のしくみのままではよりひっ迫した状態が続くでしょう。ここに手を加えずにいては、状況は変わらないと思います。
人はそれぞれの個性、強みも異なるように、年齢を重ねてからの強みもあると思います。そして「社会」という枠のなかで、それぞれが何かしらの「役割」を担って生きている。単純に45歳以上の人たちのかさむ人件費を減らせば解決するという話ではないと思います。
すべての世代の人たちが、担う役割に意欲を持てるように、全体で考える必要があると思うのです。
大卒の人が22歳で入社、45歳を迎えるまでは23年、45歳から60歳までは15年、65歳までは20年、今入社した人の定年は75歳になっているとしたら、45歳からは30年もあります。そしてAIにより仕事はどんどん少なくなっていく。その中で若い人たちもこれからどうしたらいいのでしょう。
45歳定年制、結局はその人が45歳以上の人材をどう見ているかということなのだと思います。忘れてはならないのは、人は生きている限り、歳をとります。44年生きてきた人は、死なない限り45歳を迎えます。
そして、「パレートの法則(80:20の法則)」にあるように、「売上の8割は、2割の社員に起因する」、そして、もう一つの法則「2:6:2の法則」、仮に下位の2割をなくしたとしても、残りの8割の中で、下位の2割が発生するのです。
つまり、45歳以下、46歳以上も基本は同様の比率で構成されているのです。どちらかだけに問題や責任があるのではありません。
「社会」という枠の中で「どうやって生きていくか、働いていくか」を考えることはとても重要だと感じました。