今を大切に生きる

心豊かに生きていきたい

静かな退職⑥

 これまでは「静かな退職」という言葉を通じて感じたことを記してきました。「静かな退職」とは、給料の分だけ働く働き方です。

 

 静かな退職⑤では、「静かな退職」や給料の半分だけ働くというような人がでてくる要因は処遇にあると書きました。

 

 育休等において、組織内で欠員が出た時に支える方がの処遇が低かったりする。支える方も支えられる方も均等に処遇されるべき。このような雇用状況が改善されないのは現代社会が抱えている問題だと考えています。

 

 産業・組織心理学では、働く人のモチベーションと生産性に関する研究がなされています。その中でも、サラリーが低かったとしても、その仕事が注目されているという理由で働く満足度が高くなり、生産性が上がっているという実験もありました。

 

 働く人が働くことに対して、何をモチベーションにするか、何を大切にするか、その人が働くことをどのように位置付けているかがとても大切です。その人の価値観により、働き方も変わります。

 

 働き甲斐、働くことでの満足感と処遇はイコールでない。そう思います。しかし、やはり、働く目的の中で、不条理なことが当たり前になっていたら、働く意欲を持ち続けることは難しい。

 

 現に私は、以前は私という資源の95〜98%が働くことだった人が、今では、20〜25%くらいにその比率は下がっています。

 

 この変化は、私が働くことに対する位置付けが変わったからです。働いていても、前とは異なる合理的だと思う割り切りもできるようになりました。また、自分の役割以上の責任を追うことも今となっては考えられません。

 

 もし私が、自分の思うような処遇が得られなかったとしても、仕事を愛し、この仕事ができる喜びを味わう。という生き方を続けていたら、今の自分の価値観に気づくことはなかったでしょう。

 

 正確に言うと、それまでの価値観を変えざるを得なくなる状態に陥り、そこから苦しみ、向き合った結果が今の価値観です。

 

 働く理由も、それまではその会社でその仕事ができることが喜びでしたが、今は、働くためにお金を得るには最も効率よく対価を得られるから。その働く理由も異なります。違くていいんです。

 

 私は組織の中で自分を合わせて変化させることではなく、自分と組織の境界線をひけるようになりました。組織に合わせるという点では,仕事という点では合わせます。しかし、心労や慣習に併せる気はありません。

 

 自分が自分であるために、自分を生きるために、他人に侵害されることがない境界線を引く。それができるようになったことは私の財産です。(おわり)