役所広司さんが、カンヌ映画祭で主演男優賞を受賞されました。おめでとうございます。
役所広司さんの芸名の由来、役所に勤めていたから役所であることに加えて、役者として「やくどころひろし」という意味も込められているそうです。
役所広司さんは本当にやくどころが広い役者さんです。役所広司さんが出演されている映画やドラマは、役所広司さんだからこの役に命が吹き込まれている。いや、役を演じているのではなく、いつしか役所広司さんが演じている役が実在の人物のように見え、その印象が残り続けるのです。
「陸王」というドラマをご記憶でしょうか。
役所さんが演じる宮沢紘一は、埼玉県行田市にある老舗足袋業者の四代目社長として日々奮闘していたが、年々先細る足袋の需要から、資金繰りに悩む月日を過ごしていた。そんな折、銀行担当者とのやり取りを通じて、新規事業への参入を考え始める。
役所さんを中心に、仲間との固い絆で新しい夢、新しい商品をつくります。役所広司さんは、人情味のある社長さんは役所さんのお人柄ではないかと思うくらいでした。
「有頂天ホテル」という映画をご記憶でしょうか。
今回はいわゆる“グランド・ホテル”形式の群像劇に挑戦し、大みそかのパーティーを控えて騒然とする一流ホテルを舞台に、同時発生的に持ち上がる大騒動の連鎖を綴る。一つ一つは無関係なトラブルが、役所広司扮する副支配人を軸にして交錯し、新たな笑いを生み出していく脚本の妙を楽しみたい。
とあります。もう次から次へと起こるトラブルに副支配人として対応し、平和に年始を迎える。映画を見るだけで明るくなれる作品でした。こちらも、役所さんが演じる副支配人が本当にいるのではないかというくらい印象に残りました。
役者さんの中には、役やキャラクターを演じていると感じる人と、役者さんがその役やキャラクターに見える人がいます。役所広司さんは、なんというか、その役を演じている人の心が役所さんを通じて表現されているように感じます。役所さんが演じる役は、違うタイプの役柄でも、本当にその役の人なんじゃないかと思わせてしまう何かがあるのです。
ほかの俳優さんでそのように感じる人がいるかというと思い浮かびません。演技がうまい俳優さんでも演技がうまいと思っても、本当にその役の人なんじゃないかと思わせる俳優さんは少ないです。
役所広司さんが、カンヌ映画祭で主演男優賞を受賞したことはとても嬉しいです。それも、渋谷の公衆トイレの清掃員の役、小さな小さな喜びを見つけながら、思わぬ出来事に心を揺らす平山という役を演じていらっしゃる。
役所さんは映画を観たお客さんが、平山(役の名前)にエールの気持ちを持ってくださるのではないかとお話でした。私もこの映画が見て見たいです。