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ワイルド・ソウル


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 今週のはてなブログお題「名作」に参加します。

 

 「あれは名作だった!」と言って、思い出す作品。垣根涼介さんの「ワイルド・ソウル」です。

 

 垣根涼介さんは、昨年直木賞を受賞された作家です。直木賞のニュースで、垣根さんのお名前を聞いたときはうれしかったです。

 

 ワイルド・ソウルは200年に発刊された作品です。新潮社のホームページから引用すると以下があります。

その地に着いた時から、地獄が始まった――。1961年、日本政府の募集でブラジルに渡った衛藤。だが入植地は密林で、移民らは病で次々と命を落とした。絶望と貧困の長い放浪生活の末、身を立てた衛藤はかつての入植地に戻る。そこには仲間の幼い息子、ケイが一人残されていた。そして現代の東京。ケイと仲間たちは、政府の裏切りへの復讐計画を実行に移す! 歴史の闇を暴く傑作小説。

 当時は幻冬舎から出版されていて、文庫本上下2冊は今も持っています。

 

 垣根さんに興味を持ったのは、その前に午前3時のルースターという作品がドラマ化されました。その作品では、東南アジアの空気感が表されていて、興味を持ちました。振り返ると2000年だったようです。

第17回サントリーミステリー大賞受賞作をドラマ化。行方不明の父を捜す少年とともにタイを旅する男性が、事件に巻き込まれながら自己を見つめ直し、成長する姿を描く。旅行代理店の経営者、長瀬達彦(高橋克典)は、得意先の宝石店の社長、中西栄吉(津川雅彦)からタイに渡航する孫の慎一郎(生田斗真)の付き添いを頼まれる。タイは、慎一郎の父・準(大杉漣)が消息を絶った場所で、栄吉ははじめ家族は死んだものと考えていた。しかし、タイを取材したドキュメンタリー番組に父らしい人物を見た慎一郎は、父との再会を信じていた。やがて、バンコクに到着した二人はさまざまなトラブルに遭遇する。

 

 私は小説を読むとき、その風景を頭の中で映像化しながら読んでいます。例えば、バスを待つ場面であれば、その描かれている人の視点から、左からバスが来てバスに乗って、自分が待っていた場所を通り過ぎるといった、その場の後継や、エンジン音などを創造して頭の中で映像化しています。

 

 垣根さんの小説は、頭の中での映像化がしやすいのと、描かれている人のこころの疾走感がこころに伝わってくるのです。例えば、描かれている人が逃げているシーンだと、追いかけられて焦ったり、ドキドキしている様子が目に浮かび、一緒に走っている気分になります。

 

 ここまで書いておきながらなのですが、ワイルド・ソウルのお話の中身をはっきりは覚えていません。頭の中で描かれたアマゾンの雄大な風景や小説ラストの後継(主人公が成田空港に車を置いていく)場面の描写等が目に浮かんだことを今でも覚えています。

 

 このように心が動く作品は中身ではなくその時の感動を覚えています。素晴らしい作品です。


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