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虎の威を借る狐

 会社で働いていると、機密情報を扱うことがあります。機密情報とは、重篤な秘密。例えば、上場企業であれば開示前の決算情報や役員の就退任情報。何か新しいサービスを打ち出す際に、発表の前に他社に知られてはならない情報もあります。

 

 また、個人情報も重篤な秘密。個人の住所等もさることながら、その人の人事評価や病歴等は厳密に管理し、情報が漏れないようにする必要があります。

 

 働く人の中には、機密情報を扱う人、扱わない人がいます。それは、部署や担当業務といった役割の差と社長や経営陣といった役職に応じて、役職者だけが知る情報もあるでしょう。役員の秘書もたくさんの情報を持っていますが、多くの秘書は業務を離れたり、退職して以降も秘密を守り続けます。

 

 役員秘書をしていた女性Aさん。容量が良く、先を見越して準備ができるのでその点は秘書としてとても優秀だと思います。ですが、業務上知り得た情報を自分に都合よく扱う女性がいました。

 

 お取引先にキーマンとなるBさんという男性がいました。そのBさんとBさんに関わる直接の担当の人たちがランチ会食をすることになりました。そのBさんを会社に紹介したのはAさんが秘書をつとめるC役員です。Aさん(秘書)はCさん(役員)を通じてB(キーマン)と面識があります。

 

 Bさんと直接の担当がランチ会食をすることになりました。当時AさんはC役員の秘書を離れていましたが、その情報を直接の担当の上司から聞きつけたそうです。情報を聞きつけたAさんは驚きの行動に出ました。

 

 なんと、Aさんは勝手にランチ会食のお店に連絡し、予約を1席増やしたのです。そのうえ、「私もいきます」と直接の担当に連絡してきました。

 

 直接の担当は、びっくりしました。担当たちはAさんに来てくださいともいっていません。その上司に、「Aさんが来るというのだけどどうして?」と聞くと「知らない。そうなの?俺が話したから知って入るけど。自分がいた方がいいと思ったんじゃない?」と。Bさんと直接の担当たちにはすでにリレーションがあり、Aさんを必要としていません。直接の担当たちの上司は、Aさんに「なんで来るの?」とは言わなかったそうです。

 

 Aさんが自分の判断で1席増やしたのもビックリですが、そのうえで、お店選びにケチをつけたそうです。「私ならもっと素敵なお店を用意します」とでも言いたかったのでしょうか。言うまでもありませんが、Aさんは嫌われています。ですが、C役員が背後にいるため、このようなおかしなことがあっても男性たちは何も言えないようでした。

 

長く働いている中でも強烈にびっくりしたいやらしい人間の一人です。